予防技術検定を受験しようと考えてるんだけど独学だとどれぐらい勉強が必用なの?
効率的に勉強を進めるために注意すべきポイントは?
ぶっちゃけ予防技術検定に最近の法改正って出題されるの?
火災予防のスペシャリストへの第1歩となる予防技術者検定を合格するために必要な学習時間と勉強方法を解説します。予防技術検定合格のためには毎日2時間程度を2~3か月継続する努力が必用であり、その努力の方向性は「法令文を正しく理解すること」に向ける事が重要です。
この記事では予防技術者検定の合格までに必要な学習時間や効率的な勉強方法、合格率の推移について解説し、上記のような疑問を解決します。
予防技術検定とは
消防機関には、建築物の大規模複雑化による複雑細分化する予防行政を適切に運営するために、火災予防に関する高度な知識、技術を有する火災予防のスペシャリストを配置する必要があります。そのスペシャリストは「予防技術資格者」と呼ばれ、予防技術資格者になるためには、予防技術検定に合格する必要があります。しかし消防職員なら誰でも受験できるものではなく予防技術検定を受検するための資格として一定の実務経験を定めています。
つまり予防技術検定の受験者は現役バリバリの査察官達が受験する火災予防のスペシャリストへの最初のハードルとなります。
そんな予防技術検定を最短で効率的に合格するためには試験の傾向を知る必要があります。また、試験合格に必要な努力量(学習時間)を知る必要があります。まずは試験の傾向について解説します。
令和3年度の予防技術検定試験日は令和3年12月5日(日)!
申請期間 | 令和3年7月14日(水)から8月31日(火)まで |
申請方法 | 次の申請先へ申請期間内に特定記録郵便で郵送してください。 (締切当日の消印有効) |
申請先 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1丁目4番2号大同生命霞が関ビル19階 (一財)消防試験研究センター予防技術検定担当 |
検定手数料 | 5,700円 |
※令和3年度試験の合格発表は令和4年1月12日が予定されています。
合格率は50%から60%へとやや易化傾向 近年の結果を比較
近年の受検者数や合格者数、合格率を各分野ごとに纏めました。
受験者数、合格者数はほぼ横ばいにあります。令和元年度はコロナウイルスの影響で中止等があり、出願者の約1割程度が受験を見送り減少したこともありましたが、令和2年度には例年並みとなっています。
合格率は全体的に易化傾向にあり令和2年度では全体で61%の合格率と2人に1人以上が合格しています。
筆者の経験では難しい方から並べると「消防用設備>危険物>防火査察」の順に感じ合格率とほぼ近い結果と言えます。
試験の受験者数では 防火査察(4668)>消防用設備(2347)>危険物(1817) となっており、これはそのまま実務職員数を反映するような数値となっています。
合格までの必用努力量は? 実務以外で約100時間が目安!
検定に合格したければ毎日約2時間の学習を2~3か月は継続しましょう。この数値は2交代制の隔日勤務者を想定して次の様に算出しています。
2時間(毎日の学習時間)×20日(1月辺りの非番週休日数)×2~3か月
学習期間が長期化するとモチベーションの維持が困難になってきます。今年度は試験が12月に早まる(コロナウイルスが沈静化すれば…)ため、受験される方は9月頃から学習計画を立てて下さい。
では他の資格で100時間ぐらいの学習時間を要するようなものは、どんなものがあるか気になりますよね。同等の難易度となる資格は危険物取扱者免状(乙種)や日商簿記3級ぐらいになります。しかし、これらの100時間というのは全くの知識0からのスタートでの話です。予防技術者検定は1年以上の実務経験をもって受験しますのでこれらの資格試験よりは難しいですよ。
効率的に勉強を進めるために心掛ける3つのポイントと私の大きな失敗
最短で合格を狙うためには次の3つのポイントを意識して下さい。
- 法文を読み込む力をつける!
- 問題集をひたすら回す!
- 参考書で勉強しない!(ココは特に大事!)
私は 消防用設備 → 危険物 → 防火査察 の順に受験しました。幸いすべて一発で合格することができましたが、学習スケジュールにおいて失敗したと感じた瞬間がありましたので当時の体験をお伝えします。
私が最初に受験したのは消防用設備等でしたが範囲が広いためどこから勉強していいのか分かりませんでした。上席者からは3月ほどはしっかり勉強して受験するように言われたものの何から手をつけるのか…
とりあえず全体像を把握しようと考え勉強した書籍は次のものです。どれも素晴らしい内容で勉強にはなりましたが検定試験対策は不十分です。
- 消防・建築法規のドッキング講座
- 消防設備アタック講座〈上・下巻〉
- 査察マスター
- 予防技術検定のための消防予防概論第1巻 共通科目
- 予防技術検定のための消防予防概論第3巻 消防用設備等
これらの書籍を読み終え、さあ実践だとチャレンジしたのが予防技術検定集中トレーニングです。
結果は散々なもので、問題の意図が分からない… 言い回しが分からない… むしろ、全然正解しない… 絶望感しかありませんでした。
あぁ、勉強の方向性を間違えたんだなとその時気づきました。予防技術検定で問われる内容の多くは「法文を正しく理解しているか」であり、ザックリした知識では選択肢を絞り切れないと感じました。
この時点で2月の下旬でした。そこから毎日6時間近く〈消防基本6法〉と〈建築基準法関係法令集〉、〈予防技術検定集中トレーニング〉をひたすら回しました。〈予防技術検定集中トレーニング〉では正解するよりも全ての選択肢を正しく理解することに注力し3~4周ほど問題にトライしました。
結論として学習法に近道はありませんが、法令を読み込む事と予想問題をチャレンジしまくることが検定合格への鍵であると考えます。
予防技術検定受験に必要な学習資料(防火査察)
防火査察受験で必要な資料は消防基本6法や消防関係法規集、それに問題集で十分です。他に必要なのは立入検査標準マニュアルや違反処理標準マニュアルですが、これらは違反是正支援センターでダウンロード可能です。違反是正支援センターでは「予防技術検定のための消防予防概論」という書籍も販売していますが必須ではありませんし、無料ダウンロード可能な立入検査標準マニュアルや違反処理標準マニュアルが多くを占めています。
しかし、無料ダウンロードデータの問題点を挙げるのならば改正がされていなため、各関係法令の根拠条項が現行法と異なる点です。法文を引いた時にアレ?ってなります。
予防技術検定受験に必要な学習資料(消防用設備)
消防用設備受験時には法令集と問題集に加え、省令告示集や建築基準法令集も重宝しました。その理由は出題範囲の中に特定共同住宅の技術基準や建築基準法令の内容が数多く存在するからです。
建築基準法に関しては表面的な防火避難規定の内容に留まることが多いため、必須まではいかないまでも、法文を読み進める上で役立ちました。私のオススメはオレンジ本か黄本です。私の経験ですが、試験勉強ではオレンジ本を使い、実務では黄本を愛用していました。
オレンジ本、黄色本ともに令和3年度版(改正建築基準法対応版)が販売されています。オレンジ本が11月、黄色本は12月のクリスマス前後に更新されます。黄色本は告示集が巻末に纏められており秀逸です。ただ非常に分厚いため、試験勉強には鬱陶しいサイズかもです…
予防技術検定受験に必要な学習資料(危険物)
危険物に関して、受験時に私は実務経験がありませんでした。予防技術検定の受験も2回目ということもあり、集中トレーニングから手を付けました。1周して気付いたことは危険物取扱者試験問題と非常に類似しているということです。問題へのチャレンジこそが合格への近道だと考えていたので甲種危険物取扱者試験の法令問題や消火性状問題に取り組みました。
危険物取扱者試験の問題から勉強した理由は気づき以外にもう一つあります。それは、予防技術検定も危険物取扱者試験も一般財団法人消防試験研究センターが所管している点です。ならば、法令関係問題は類似していてもおかしくない!
この作戦は受験にバッチリはまり、実務経験無しでも80~100時間前後の学習時間(非番日に2時間を約2か月半)で検定試験に合格できています。足りない分野としては違反処理や設備規制についてであり、これらは集中トレーニングで間違えた問題から法令を引き勉強しました。
効率的に進めるなら短期間集中でオンラインスクールでの動画学習もオススメです。動画学習であれば隙間時間を利用したり、ながら学習でサラッと全体像をつかむことが可能です。
危険物系の資格を持っていなければ、予防技術検定と乙4や甲種と併せてダブルライセンス取得を狙うのもアリですね。
一般財団法人消防試験研究センターでは過去の危険物取扱者試験の内容を一部公開しています。問題数も比較的多いため模擬試験的に実施するにはアリです!
リンクを張っておきますので興味のある方はご利用下さい。
一般財団法人消防試験研究センター(※登録無しで無料で閲覧できます)
直近の法改正内容は出題されるのか?
結論からお答えすると直近のものはあまり出題されない気がします。しかし、法改正等から1~2年が経過するものは多数出ている気がします。試験対策としては捨てても1、2問程度なのでその選択もアリかと思いますが、実務で携わる以上勉強はすべきです。
受験願書に試験出題時の基準年月日が記載されているため見落とさないようにしましょう!
過去問、類似問題、予想問題にチャレンジしよう!(まとめ)
予防技術検定合格のためには毎日2時間程度を2~3か月継続する努力が必用であり、その努力の方向性は「法令文を正しく理解すること」に向ける事が重要だと筆者は考えます。
でも問題集と法令を行ったり来たりは効率的ではない… そう感じたならばこの〈tips 消防法攻略への道〉のチャレンジ問題に取り組んでみて下さい。法令の解説と法令文、予想問題と解説をそれぞれの内容ごとに記事を作成しています。間違えたところや悩んだところを深く勉強すれば効率的です。
チャレンジ問題へジャンプ! | 内容 |
〇 防火査察 第1回 | 法4条、法8条、法8条の2の4編 |
〇 防火査察 第2回 | 統括、法8再講習、自衛消、防災管理編 |
〇 防火査察 第3回 | 措置命令(3条、5条、5条の2、5条の3) |
〇 防火査察 第4回 | 防炎制度、防火対象物定期点検、行政手続法 |
● 消防設備 その1 | 検査の受検義務、無窓階、検定業務、17条の4命令 |
● 消防設備 その2 | 消防設備の種類、点検報告制度 |
● 消防設備 その3 | 建築基準法に関する用語 |
● 消防設備 その4 | 消防同意、消防設備の設置維持義務、小規模な飲食店、特定小規模施設 |
予防技術検定は12月が試験日となります。正しい努力の継続で合格を勝ち取りましょう!
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