消防活動阻害物品って何? 危険物や指定可燃物との違いを解説!

防火防災管理関係

危険物や指定可燃物は知っているけど消防活動阻害物品ってなに?どこに届け出が必要なことが記載されているの?

消防活動阻害物品と危険物や指定可燃物の違いは何?

この記事では消防活動阻害物品と呼ばれる液化石油ガスや圧縮アセチレンガス等と危険物や指定可燃物との違いについて解説し、上記のような疑問を解決します。この記事では毒物劇物に関しては深掘りしていません

消防活動阻害物品とは何?

消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質を貯蔵、取扱する場合は消防法第9条の3に基づいて届出する必要があります。消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質は通称「消防活動阻害物品」と呼ばれ、液化石油ガスや圧縮アセチレンガス等があります。

筆者の印象では特に液化石油ガスが多く、それ以外の届け出は、たまにといったところでしょうか。実務では忘れがちですが、廃止する場合も届出が必要になっています。

消防法第9条の3

圧縮アセチレンガス、液化石油ガスその他の火災予防又は消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質で政令で定めるものを貯蔵し、又は取り扱う者は、あらかじめ、その旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。ただし、船舶、自動車、航空機、鉄道又は軌道により貯蔵し、又は取り扱う場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
2 前項の規定は、同項の貯蔵又は取扱いを廃止する場合について準用する。

消防法の規制では〈危険物〉や〈指定可燃物〉についても貯蔵取扱に対し規制していますね。これらと〈消防活動阻害物品〉との違いは何でしょうか? それぞれの特徴とともに解説します。

消防活動阻害物品について、危険物や指定可燃物との違いは何?

危険物については指定数量を境に消防法(主に危険物の規則に関する政令)と市町村長の定める火災予防条例で規制されています。危険物はそれ自体が燃焼する可能性を有していたり、引火性が強く他の燃焼を助長したりと燃焼性に関して強い危険性を有しています。燃えだす危険性と大きな燃焼性が特徴です。

指定可燃物については危険物ほど燃えだす可能性はありませんが、一度燃焼を始めれば爆燃する可能性や強い燃焼継続性を有しています。危険物ほど貯蔵取扱に対して強く規制されることは少ないですが、集積単位等を守らせることで1カ所に指定可燃物を集中させない事が重要です。

消防活動阻害物品については、危険物や指定可燃物に該当しないものの、強い燃焼性を有していたり、有毒ガス等を発生させる危険性を有していることが特徴です。毒物劇物についても消防活動阻害物品として定められています。つまり危険物や指定可燃物とは異なる観点での危険性を有しているため届出を義務付けているものです。

それぞれの消防活動阻害物品について届出を要する数量と特徴を解説

圧縮アセチレンガスのみ数量が1桁異なります。毒物劇物を省略していますが下表で視覚的に覚えましょう!! 

消防活動阻害物品届出を要する数量
圧縮アセチレンガス40kg
無水硫酸200kg
液化石油ガス300kg
生石灰500kg
危険物政令第一条の十(届出を要する物質の指定)

法第九条の三第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の政令で定める物質は、次の各号に掲げる物質で当該各号に定める数量以上のものとする。
 一 圧縮アセチレンガス 四十キログラム
 二 無水硫酸 二百キログラム
 三 液化石油ガス 三百キログラム
 四 生石灰(酸化カルシウム八十パーセント以上を含有するものをいう。) 五百キログラム
 五 毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第二条第一項に規定する毒物のうち別表第一の上欄に掲げる物質 当該物質に応じそれぞれ同表の下欄に定める数量
 六 毒物及び劇物取締法第二条第二項に規定する劇物のうち別表第二の上欄に掲げる物質 当該物質に応じそれぞれ同表の下欄に定める数量

2 法第九条の三第一項ただし書(同条第二項において準用する場合を含む。)の政令で定める場合は、高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第七十四条第一項、ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第四十七条の五第一項又は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和四十二年法律第百四十九号)第八十七条第一項の規定により消防庁長官又は消防長(消防本部を置かない市町村にあつては、市町村長)に通報があつた施設において液化石油ガスを貯蔵し、又は取り扱う場合(法第九条の三第二項において準用する場合にあつては、当該施設において液化石油ガスの貯蔵又は取扱いを廃止する場合)とする。

圧縮アセチレンガスの特徴 ※40Kg以上で要届出

アセチレンガスの特徴は空気よりも若干軽く、高い火炎温度です。

火炎温度については約3300度であり、可燃性ガスの中でも最高温度となります。

さらに着火温度も比較的低い305度であり燃焼範囲も広いため、作業性に優れ、溶断作業等では重宝される存在です。

酸素の消費量も非常に少なく、酸素が無くても燃焼を継続し、滞留しているアセチレンガスに火が燃え移った場合には爆発を引き起こします。

無水硫酸の特徴 ※200Kg以上で要届出

無水硫酸というのは通称であり、三酸化硫黄のことです。

無色の液体か個体の強酸化剤であり、水と激しく反応して硫酸となります。中学や高校の化学で習ったかもしれませんが硫酸に水を入れるとどうなるか覚えていますか?

水は硫酸の表面に浮き(比重の関係)、発熱反応により水が突沸し、爆発するように硫酸が周囲に飛散します。無水硫酸の存在を知らずに放水したら… 想像しただけでも震えそうです…

液化石油ガスの特徴 ※300Kg以上で届出

液化石油ガスとはLPGの事です。説明はWikipediaに詳しくありましたので以下引用します。

気体としてのLPガスは空気より重く、空気の1.5~2倍の重さになる(100%プロパンの場合、15℃・1気圧で1.865kg/m3)。比重が空気より重く下に滞留する性質がある。 また、ガスが漏れると爆発を起こしやすく危険なことなどから、ガスが漏れた際に感知できるようメルカプタン等を添加して着臭(タマネギの腐ったような臭いと表現されることが多い)し最終消費者へ供給される。

引用元 Wikipedia

500Kgを超える場合は都道府県知事への届け出

そういえば、液化石油ガスについて量が多いと消防署長へは届出がありませんよね?

液化石油ガスについては「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」の規制も受けており、500kgを超える場合は都道府県知事に届け出る必要があります。都道府県知事から消防機関へ通知されるため、消防署長への届け出は不要となります。

という訳で、消防機関へ届出があるのは300~500Kgの間のみであることに注意しましょう!

大きいボンベが1つ50kgですので、〈6本~10本なら消防に届け出が必要!〉と覚えましょう!

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律

第三十八条の三(液化石油ガス設備工事の届出) 

学校、病院、興行場その他の多数の者が出入する施設又は多数の者が居住する建築物であつて、経済産業省令で定めるものに係る液化石油ガス設備工事(経済産業省令で定めるものに限る。)をした者は、経済産業省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該施設又は建築物の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。

第八十七条(関係行政機関への通報等)

経済産業大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の登録をし、第三十六条第一項、第三十七条の二第一項(第三十七条の四第三項において準用する場合を含む。)若しくは第三十七条の四第一項の許可をし、第六条、第八条、第二十三条、第三十七条の二第二項(第三十七条の四第三項において準用する場合を含む。)若しくは第三十八条の三の規定による届出若しくは第十条第三項の規定による届出(同条第二項に規定する場合に係るものに限る。)を受理し、第二十五条若しくは第二十六条の規定により登録の取消しをし、又は第三十七条の七第一項の規定により許可の取消しをしたときは、政令で定めるところにより、その旨を都道府県知事、国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会又は消防庁長官若しくは消防長に通報しなければならない。

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則

第八十七条(液化石油ガス設備工事)

法第三十八条の三の経済産業省令で定める液化石油ガス設備工事は、特定供給設備以外の供給設備(当該供給設備に係る貯蔵設備の貯蔵能力が五百キログラムを超えるものに限る。)の設置の工事又は変更の工事であって次の各号の一に該当するものとする。
 一 供給管の延長を伴う工事
 二 貯蔵設備の位置の変更又はその貯蔵能力の増加を伴う工事
2 第二十一条第二項の規定は、前項の特定供給設備以外の供給設備の貯蔵能力について準用する。この場合において、同条第二項中「千キログラム未満」とあるのは「五百キログラム以下」と読み替えるものとする。

第八十八条(工事の届出)

法第三十八条の三の規定により液化石油ガス設備工事の届出をしようとする者は、様式第四十八による届書を当該工事に係る施設又は建築物の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。 (協会又は液化石油ガス設備士指定養成施設が行う講習の方法)

生石灰(酸化カルシウム80%以上を含有するもの。)※500Kg以上で届け出

生石灰とは酸化カルシウムの事です。説明はWikipediaに詳しくありましたので以下引用します。

私は現役時代一度もこの生石灰の届出を受けたことはありませんでした。消火のために放水していても生石灰が他の可燃物を燃焼させるような発熱をするため貯蔵箇所の把握は必用ですね。

水を加えると発熱し、数百℃にまで温まった後、水酸化カルシウム(消石灰)を生成する。

水を加えると発熱するため、消防法の危険物第3類に指定されていたが、1989年の消防法改正によって危険物からは除外された。

酸化カルシウムが人の肌に触れたり酸化カルシウムを吸入したりすると、水との高い反応性のためひりつきや炎症が生じることがある。吸入した場合咳やくしゃみを伴い、呼吸困難になることもある。熱を放出して鼻中隔の穿孔や腹部の痛み、吐き気や嘔吐などの症状が出ることもある。酸化カルシウムは水と反応しても発火しないが、可燃物を燃焼させるのに充分な熱を放出する

引用元 Wikipedia

消防活動阻害物品の事故

消防庁が発表している令和元年中の圧縮アセチレンガス等の消防活動阻害物質の総事故件数は、60 件で、人的被害は死者0、負傷者が 22 人であり、内訳は下表のとおりです。

令和元年中の圧縮アセチレンガス等の消防活動阻害物質の総事故件数及び人的被害であり消防庁発表資料より抜粋

火災件数としては14件となっており、生石灰による事故が7件、液化石油ガスによる事故が5件、圧縮アセチレンガスによる事故が2件であり、生石灰に起因する火災が最も多いです。火災発生のプロセスとしては雨による洪水等で生石灰が発熱し、収容スペースにある木材やブルーシート等の可燃物を燃焼させるといった事故が多い印象です。

予防技術検定にチャレンジ! 消防活動阻害物品編

問題

次の物品と数量の組み合わせで、あらかじめその旨を所轄消防長又は消防署長へ届出なければならない物はどれか答えよ。

番号物品数量
(1)圧縮アセチレンガス30kg
(2)無水硫酸100kg
(3)液化石油ガス300kg
(4)生石灰300kg
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答え (3)

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