設置数が1であっても特定1階段等防火対象物にならないための階段種別について詳しく解説!

鉄骨造の階段 建築基準法関係

立入検査に行った防火対象物の3階に特定用途があったので特定1階段等防火対象物になるかもしれない…

でも階段の種別によっては大丈夫かもしれない。階段の種別についてあまり分かっていないので建築基準法に基づいて教えて!

この記事では特定1階段等防火対象物について重要となる階段を建築基準法に基づき分かり易く解説します。その結果、階段種別の判断が可能になり、上記のような疑問を解決します。

特定1階段等防火対象物とは

特定1階段等防火対象物についての定義は消防法施行令第四条の二の二に定められています。

難解なように見えますが、カッコの中を読み飛ばすと次の様になります。

別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていないもの

端的に纏めると、地階又は3階以上の階からの避難するための階段が1しかない(2以上設けられていない)ものが規制されています。

消防法施行令第四条の二の二 第2項より(火災の予防上必要な事項等について点検を要する防火対象物)

別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階(建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第十三条第一号に規定する避難階をいう。以下同じ。)以外の階(一階及び二階を除くものとし、総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分とする。以下この号、第二十一条第一項第七号、第三十五条第一項第四号及び第三十六条第二項第三号において「避難階以外の階」という。)に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段(建築基準法施行令第二十六条に規定する傾斜路を含む。以下同じ。)が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの

しかし、階段が1しかないの場合でも例外が有ります。屋外階段規則4条の2の3に定められる階段は1しかない場合であっても特定1階段等防火対象物にはなりません。

  • 屋外階段
  • 特別避難階段
  • 屋内避難階段(告示7号階段に限る)

 屋外階段や告示7号階段は建物内で火災が発生したとしても、避難時には階段部分の煙が外気に排出されるため安全性が高いと考えられています。特別避難階段も附室が設けられているため煙が階段室に入りにくいですね。安全性の高い階段は1つであっても特定1階段防火対象物にはなりません。

 しかし、階段の規制内容は建築基準法令で定められているため、あまり深く知らない査察官も多くいるはずです。そこで、最低限押さえておきたいポイントをまとめて解説します。もちろん細かい規制はまだまだありますので迷ったら建築部局へ確認しましょう。

以下階段の種別や基準について建築基準法に基づき解説していきます!

建築基準法に基づく階段の設置について

建築基準法での階段の規制とはどうなっているのでしょうか。建築基準法第35条、建築基準法施行令第117条、120条、121条が起点となります。

建築基準法施行令第117条では第二節 廊下、避難階段及び出入口の規制対象となるかどうかの条件が定められています。規制の対象となるかどうかのポイントは次のように纏めることができます。

  • 1項から4項までの特殊建築物(※建築基準法での用途です!)
  • 階数が3以上の建築物
  • 採光上有効な開口部が無い居室を有する階(令116条第1項)
  • 延べ1000㎡を超える建築物

以外と適用の条件までのハードルは高いことが分かりますね。2階建てで小規模な事務所ビル等は建築基準法上の階段規制の対象では無い可能性が高いことが分かります。

建築基準法施行令第百十七条(適用の範囲)

この節の規定は、法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、前条第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室を有する階又は延べ面積が千平方メートルをこえる建築物に限り適用する。

建築基準法施行令第120条は直通階段について、121条は2以上の直通階段の設置について定められていますが、今回は説明を省略します。

階段の種別について《屋外階段》とは

建築基準法施行令第百二十一条の二(屋外階段の構造)

前二条の規定による直通階段で屋外に設けるものは、木造(準耐火構造のうち有効な防腐措置を講じたものを除く。)としてはならない。

屋外階段については建築基準法施行令第121条の2に規定されていますが内容は構造についてのみです。構造は原則木造以外とすることとされていますが、準耐火構造でかつキシラデコール等で有効に防腐措置が講じられたものは木造で造ることが可能です。では構造以外で、その他の条件はあるのでしょうか? 階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法については建築基準法施行令第23条により基準が設けられています。

しかし、思うところは一部でも屋外に面していれば屋外階段なのでしょうか? 

その答えはNOです! 

どれだけ開放されていれば屋外階段となるのかは各都道府県の建築基準法取扱基準により多少は異なるようですが、おおむね基準となっているのは次の3点に該当することです。

  1. 開放部分の長さが、当該階段の周長の1/2以上であること。
  2. 開放部分の高さが、1.1m以上、かつ当該階段の天井高さの1/2以上であること。
  3. 隣地境界線から50cm以上、同一敷地内の他の建築物または当該建築物の部分からの距離が、屋外避難階段にあっては1m以上、その他の階段にあっては50cm以上離れていること。
屋外階段設置についてのポイント

階段の種別について《屋外避難階段》とは

5階建て以上では避難階段の設置が必要ですが、避難階段には屋内に設けるものと屋外に設けるもので異なります。以下、屋外避難階段について解説します。

いきなりですが問題です! 屋外階段と屋外避難階段の違いは何でしょうか?

答えは自動閉鎖の防火戸と階段の周囲2m以内に開口部が無いことです。

構造が木造以外から耐火構造を求める点についても大きく異なる点と言えますね。

屋外避難階段設置についてのポイント
建築基準法施行令第123条 第2項

屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。

一 階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から二メートル以上の距離に設けること。

二 屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。

六 階段に通ずる出入口には、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で第百十二条第十三項第二号に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。

三 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。

屋外避難階段を設置すれば特定1階段等防火対象物での規制を受けることはありませんが、他に消防法で屋外避難階段が関連する法令はイメージできますか?

そうです避難器具の設置免除です!

避難器具は火災時に避難するための最終手段としての設備ですが、屋外避難階段の方が断然安全ですよね。

階段の種別について《告示7号階段》とは

特定1階段防火対象物とならない条件の階段は「屋外に設けられたもの」と「総務省令で定める避難上有効な構造」を有する階段ですね。この総務省令で定める避難上有効な構造」を有する階段はさらに以下の2つに分かれます。

この消防長告示第7号の基準を満たす屋内避難階段は通称告示7号階段と呼ばれます。基準をまとめると下図のようになります。周長の1/2以上開放していれば屋外階段となるため、必然的に1面しか開放されていないな屋内避難階段が対象であり、一定の開放性を定めた基準となっています。

告示7号の基準を満たす屋内階段設置についてのポイント
建築基準法施行令第百二十三条 第1項

一 階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。

二 階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第三項第四号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。

三 階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。

四 階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離に設けること。ただし、第百十二条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。

五 階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々一平方メートル以内とし、かつ、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。

六 階段に通ずる出入口には、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で第百十二条第十三項第二号に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。

七 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。

違反実例と階段についてのまとめ

私の経験ですが、告示7号階段に設けられた自動閉鎖の防火戸がガムテープで固定されていたことがありました。即時に是正を求めガムテープを剥がしていただきましたが、防火戸が明らかに錆びており閉鎖できないじゃありませんか!

その時は現状特定1階段等防火対象物に該当すると判断し、自火報受信機の再鳴動機能、感知器の垂直距離7.5m、1動作式の避難器具未設置、防火対象物定期点検未実施等を立入検査結果通知書で指摘するとともに、建築部局へ避難階段の基準不適合について違反情報を提供しました。数日後に防火戸の改修の見積もりを持って来署されたため違反処理には至りませんでした。もし命令するとすれば、階段の重要性を考慮し17条の4命令よりも5条第1項命令の方が適当と考えます。

この記事では特定1階段防火対象物になるか、ならないかの階段について解説をしてきましたが、その判断は建築基準法に基づく階段への規制に対する知識が必須です。確認申請や防火対象物使用開始届で建築図面がしっかりと整っていれば判断は容易ですが、現地でパッと判断できない可能性は十分に考えられます。判断に迷ったときは建築部局に相談しましょう。

予防技術検定にチャレンジ! 特定1階段防火対象物と階段編

チャレンジ問題1

次の階段に関する記述について適切でないものを2つ選べ。

  1. 地上3階、地下0階の複合用途防火対象物の3階部分に3項ロが存している。設置されている階段は1のみであるが屋外階段であるため、特定1階段防火対象物に該当しないと判断した。
  2. 地上4階、地下0階のホテルについて、設置されている階段は1のみであるが屋内避難階段であるため、特定1階段防火対象物に該当しないと判断した。
  3. 地上4階、地下0階の診療所について、設置されている階段は屋内階段と屋外階段の2である。しかし、4階へ至る階段は屋内階段の1のみであるため特定1階段防火対象物に該当すると判断した。
  4. 地上2階、地下1階の専門学校について、設置されている階段は屋内階段と屋外階段の2である。しかし、地下1階へ至る階段は屋内階段の1のみであるため特定1階段防火対象物に該当すると判断した。
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答え 2及び4 2について、特定1階段防火対象物にならないための屋内避難階段は告示7号の開放性を有している場合に限るため誤り。4について、専門学校は特定用途でないた特定1階段等防火対象物にはなり得ない。
チャレンジ問題2

消防法施行令第4条の2の2 第2項について、別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階(1階及び2階を除くものとし、総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分とする。)に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が2以上設けられていないものは特定1階段等防火対象物として規制強化されるが、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段の数が1であっても特定1階段等防火対象物に該当しない階段を1つ以上選べ。

  1. 屋外階段
  2. 屋外避難階段
  3. 屋内階段
  4. 屋内避難階段
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答え 1及び2 4について、屋内避難階段は告示7号の基準も満たした場合に限られるため誤り。(H14.11.28消防庁告示第7号)

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