消防検査って届出があれば実施されるけど、そもそも法令での義務と消防機関が設定している義務の範囲に違いはあるの?
消防検査が必要な規模用途を教えて!
この記事では消防法に基づく消防用設備等を設置した際について、消防検査の受検義務について解説し、上記のような疑問を解決します。
消防検査とは何か? 歴史から振り返る消防検査義務化
消防検査とは消防法第17条の3の2に定められる消防用設備等を設置した際に実施される消防機関による検査の事です。消防用設備等の設置状況を設置段階で確認することで、使用開始前の消防用設備等の不備や未設置を防ぐ目的があります。
消防検査が義務化されたのは1974年6月の消防法改正からです。この改正の要因となったのは1973年11月に熊本市で発生した大洋デパート火災です。
ここで注目されたのが消防設備が設置されていたけれども、適正に維持管理されていなかった点であり、消火器や屋内消火栓設備は設置はされていたものの適切に維持管理されておらず、正常に稼働する状態ではなかったようです。
法改正により、消防用設備等を設置した際には消防検査の受検を義務付け、さらには一定規模以上の防火対象物ではプロによる消防用設備等の点検を定期的に実施させることを義務付けました。これで消防設備等は設置の段階では消防機関、使用開始後は消防設備士等のプロの介入により維持管理体制が構築されています。
消防検査はすべての防火対処物に必要なのか!?
防火対象物使用開始届や消防用設備等の設置届が届出されると消防検査を実施しますが、すべての対象に消防検査が必用なのでしょうか? 消防法第17条の3の2には消防検査の受検の義務が記載されており、大前提は消防法第17条に基づく設備等技術基準に従って設置される消防用設備等の設置時です。
消防法施行令第35条 消防機関の検査を受けなければならない防火対象物
具体的な規模用途は施行令第35条に記載されており、用途、特防、非特防、特定1階段で分けられています。消防検査の受検義務の対象は大きく分けると次の4種類の防火対象物です。
- 自火報が面積に拘わらず義務となる用途
- 特防で300㎡以上
- 非特防で300㎡以上+消防長等の指定
- 特定1階段等防火対象物
しかし、この4種類の消防検査の受検義務が生じている防火対象物であっても簡易消火用具と非常警報器具は検査が不要であることを第2項で定めています。まぁどちらも置けば使える消防用設備ですからね。
少しコメントを入れた施行令35条を見てみましょう。
「共同住宅500㎡以上の自火報は?」と聞かれたら思わず「消防検査必須です!」と答えそうになりますが、非特防だと指定されてはじめて義務化することを忘れないようにしましょう。
火災予防条例に基づく届出と検査 防火対象物使用開始届とは
ここまで説明したのは消防法で定められる消防用設備等の設置に関する消防検査です。しかし、建物としての防火基準を満たしているかの検査は別の観点であり消防法では定められていません。この観点での検査は防火対象物使用開始検査等と言われ、各市町村条例に基づき実施されます。
この検査では建物の規模用途自体が放火安全上支障が無いかを確認しており、建築基準法の防火に関する規定や避難に関する規定の内容、火災予防条例に基づく避難安全や火気設備等の状況を検査します。届出内容や検査内容、検査の受検義務は各消防機関により異なります。
特に検査で重要なポイントは次のものです。
- 用途は申請のものと変わりがないか?
- 収容人員の算定方法は適切か?
- 消防無窓の判定は適切か?
- 階段、構造、区画に問題は無いか?
- 無窓の居室は種別に応じ非常照明の設置や排煙設備、不燃構造となっているか?
- 火災予防条例基準を守れているか?
規模、用途、収容人員、無窓階に関しては設置される消防用設備等が変わる可能性があるので要注意です。
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