消防団員に立入検査の協力を依頼する場合の注意事項を教えて!
消防署長が直接消防団員に立入検査の実施を下命してもいいの?
防火訪問や防火診断は立入検査なの?
この記事では消防法第4条の2に基づく消防団員による立入検査について、消防署長から消防団への下命のポイントや立入検査の注意事項を解説し、上記のような疑問を解決します。
消防団員の立入検査について 実施するために必要な条件とは?
立入検査と言えば普段は本職の消防吏員が実施していますが、一定の条件をクリアすれば消防団員にも立入検査を実施してもらうことが可能です。その一定の条件とは次の2点です。
- 火災予防のため特に必要があるとき
- 消防対象物及び期日又は期間を指定した場合
消防法第4条の2には火災予防のため特に必要があるときは、消防対象物及び期日又は期間を指定して、当該管轄区域内の消防団員に消防法第4条第1項の立入及び検査又は質問をさせる事ができるとされています。忘れてはいけないのは立入検査の主体は消防長又は消防署長です。
消防対象物及び期日又は期間を指定とあるため「どこに、いつ立入検査に行くのか」を明確にする必要があります。消防法第4条の立入検査では事前通告は不要であるため抜き打ちの立入検査が法令により認められていますが消防団員の立入検査は異なるため注意を要します。
消防対象物にいついてはこちらの記事にて解説しています。
Q1 消防団員の立入検査では消防署長が直接消防団員に下命するのか?
結論としては、消防長又は消防署長が消防団のトップである消防団長を通じて立入検査を行わせるべきであるため、直接下命することは望ましくありません。
消防組織法第18条第13項に【消防団は、消防長又は消防署長の所轄の下に行動するものとし、消防長又は消防署長の命令があるときは、その区域外においても行動することができる。】とされています。
法文上は立入検査の主体は消防長又は消防署長ですが、上記により個々の消防団員に直接、指揮命令することは許されないと解されます。あくまで消防団が消防長又は消防署長の所轄の下に行動するためです。
Q2 個人の住居へは立ち入るのか?
個人の住居に対する立入検査については憲法第35条の住居の不可侵の観点から関係者の承諾を得た場合又は火災発生のおそれが著しく大であるため、特に緊急の必要がある場合に限定されています。なので基本的には個人の住居へは立ち入ることは、あまり考えません。これは消防法第4条のものと同様です。
Q3 立入に断られた時はどうなるの?
消防法第4条第1項に基づく立入とは異なり罰則規定はありません。相手の抵抗を排除してまで実施できない点は消防法第4条の立入と同様です。断られた場合は次の点を質問し記録するようにしましょう。
- 立入検査を断った相手の氏名と役職
- 立入検査を断る理由
- 立入検査を実施することが可能な日時
断られた場合は直ぐに管轄の消防署へ連絡を入れるようにしましょう。場合によっては消防署から相手に直接連絡をします。
消防団員による防火訪問や防火診断は立入検査なの?
難しい問題ですが、ほとんどの自治体では立入検査としては行っていないと考えます。なぜなら消防法第4条の2に基づく立入検査の場合、実施するためには「火災予防のため特に必要があるとき」の条件が必用になりますね。定期的、計画的な防火訪問や防火診断ではこの条件を満たさないと考えられています。
自治体によっては住宅火災があった地域に対し防火訪問や防火診断を時限的に実施しているところもあるため、そこは消防法第4条の2に基づき実施しているのかもしれませんね。
ただ、どちらにせよ証票の携帯や立入検査によって知り得た秘密の取扱については十分留意する必要がありますね。
予防技術検定にチャレンジ! 消防団による立入検査編
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