特定小規模施設用自動火災報知設備(以下、特小自火報)の設置って民泊が対象のイメージがあるけども、設置できる用途って限定的なの?
あと、特小自火報の設置って消防設備士の免許って不要で自分で設置できるよね。Amazonとか楽天で購入して自分で設置してもいいの?
通称特小自火報が設置できる特定小規模施設の大前提として特定一階段等防火対象物で無いことが定められています。さらに、用途や面積の条件については3つに分かれます。その3つの条件のどれかに合えば特定小規模施設となり特小自火報の設置が可能です。
この記事では特小自火報の設置対象や設置に関する注意点について分かり易く解説します。
特定小規模施設用自動火災報知設備を設置することが可能な特定小規模施設とは?
通称特小自火報について最近設置も多くなりましたね。配線工事が不要という特徴もあり、一般住宅のような既存の建築物を改装して設置することが多いため、個別個別の事例に対応する必要がありますが設置基準についてしっかりと覚えていますか?
この記事では、特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成二十年総務省令第百五十六号)に基づき解説していきます。
特定小規模施設の大前提として特定一階段等防火対象物で無いことが定められています。
簡単に特定一階段等防火対象物について解説すると、地階や3階以上の階から避難するための階段が1つしか無い特定用途防火対象物の事を指します。屋外階段等の階段種別によっては規制の対象から外れる事もありますが、ここでは深掘りしません。詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
大前提が分かった所で、用途や面積の条件については3つに分かれます。以下の条件に合えば特定小規模施設となりますので、それぞれ解説します。
〈条件イ〉 自火報が0㎡から義務になる用途で延べ面積300㎡未満のもの
次の用途のうち延べ面積300㎡未満のものを特定小規模施設と呼びます。これらの用途の特徴は自動火災報知設備が面積に関係無く0㎡から設置義務が生じる用途ですね。
- (2)項ニ
- (5)項イ
- (6)項イ(1)~(3)
- (6)項ロ
- (6)項ハ(利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る。)
〈条件ロ〉 (16)項イの〈条件イ〉部分
複合用途について〈条件イ〉の用途が一部でもあると、みなし従属が適用できないため(16)項イと用途判定されますね。延べ面積300㎡以上の非特定用途防火対象物に小規模な〈条件イ〉が入ることで(16)項イと判定されてしまう防火対象物を小規模特定用途複合防火対象物と言います。
(16)項イについては300㎡を境に基準が分かれます。
- 延べ面積300㎡未満の(16)項イに掲げる防火対象物の〈条件イ〉部分
- 延べ面積300㎡以上の小規模特定用途複合防火対象物の〈条件イ〉部分
〈条件ハ〉 500㎡未満の(16)項イ
さらに、民泊への対応緩和のため、(5)項ロと(5)項イの2用途のみでかつ、(5)項イの用途に供される部分の床面積が300㎡未満の複合用途防火対象物だけは500㎡未満の防火対象物についても特定小規模施設とされています(平成30年6月1日に追加)。
(16)項イで次の条件すべてに合致するもの。
- 延べ面積300㎡以上500㎡未満
- 用途が(5)項イと(5)項ロのみ
- (5)項イの用途部分が300㎡未満
特定小規模施設用自動火災報知設備(通称:特小自火報)とは
特定小規模施設に設置することができる自動火災報知設備の代わりとなる消防用設備です。特小自火報の最大の特徴は感知器自体が無線で連動しており、火災を感知したときには感知器自体が鳴動します。
また、消防設備士の独占業務に該当しないため、一般の方が設置することも可能です(中継器が無い場合に限る)。配線工事が不要であるため、小規模な福祉施設や民泊で爆発的に設置が増加しています。
特定小規模施設用自動火災報知設備のメーカーと購入先について
特定小規模施設用の自火報と言えばPanasonicとホーチキが浮かびます。金額についてはどちらも大差がない状態です。それぞれのHPではPanasonicは天井設置型、ホーチキは壁掛け型を紹介しています。
よし、では特定小規模自火報を購入しようという方はちょっと注意して下さい。通販サイト等で「特定小規模施設用自動火災報知設備」で検索しても上位にこれらが表示されない可能性があります。誤って「住宅用火災警報器」を購入しないよう十分注意して下さい。
親機に必要数の子機を紐づけるイメージですので、親機は必ず1つ必用になりますよ。
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特小自火報設置の注意点! 中継器がある場合は消防設備士工事に該当する!
特小自火報を自身で設置する場合は中継器を設置できません。そうなると、必然的に警戒区域は1となります。例えば6項イの場合は2階までしか同一警戒では見れないという事です。
16項イの場合は2階及び3階で1警戒もあるかもしれませんが、特定1階段等防火対象物になっていないか十分に注意してください。
特定1階段等防火対象物でも設置を諦めてはいけない! 特例の検討を!!
3階建ての一般住宅を改装して家主不在型の民泊になる場合は必然的に5項イとなりますね。その場合のほとんどは屋内階段が1しかないため特定1階段等防火対象物になりますね。
そうなると特定小規模施設でないため原則「特小自火報」が設置できません。しかし次の条件を満たした場合は令32条の特例を適用して受信機を設けずに特小自火報を設置してもよいと回答されています。特に難しいのは全ての宿泊室の宿泊者を一の契約により宿泊させるものであることの担保がとれないことですね。これについては1棟まる貸しでしか条件に当てはまりません。特例で設置を認めた場合は定期的にホームページ等で募集の仕方をチェックするしかありません。
- 地階を含む階数が3以下であること。
- 延べ面積が 300 ㎡未満であること。
- 3階又は地階の宿泊室の床面積の合計が 50 ㎡以下であること。
- 全ての宿泊室の出入口扉に施錠装置が設けられていないこと。
- 全ての宿泊室の宿泊者を一の契約により宿泊させるものであること。
- 階段部分には、煙感知器を垂直距離 7.5m以下ごとに設置すること。
- 特定小規模施設用自動火災報知設備は 156 号省令第3条第2項及び第3項の規定(25 号告示第2第5号を除く。)により設置すること。
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