
パッケージ型自動消火設備ってスプリンクラーの代わりに設置できる設備だよね。種類が幾つかあるみたいだけど、どれを選択したらいいの?
2型の「易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるもの」って何を指しているの?
この記事ではパッケージ型自動消火設備について設置することができる面積や用途について解説し、上記のような疑問を解決します。
パッケージ型自動消火設備を設置することができる用途と面積を解説!
パッケージ型自動消火設備を設置することができる用途は限定されており、5項又は6項です。
スプリンクラー設備の代わりに設置することができるパッケージ型自動消火設備について、3種に分かれていることを知っていましたか?
- 1型:延べ面積10,000㎡以下に設置可能
- 1型(緩和型):基準面積1,000㎡未満に設置可能
- 2型:延べ面積275㎡未満に設置可能
パッケージ型自動消火設備は平成十六年五月三十一日 消防庁告示第十三号に定められています。1型(緩和型)についての基準面積という考え方や面積基準は特定水道施設連結型スプリンクラー設備と同じです。
1型(緩和型)では1ユニット型のものが設置できます。従来型は複数ユニット(3ユニットが大半)を設置する必要がありましたのね。設置できる適用範囲は下図のようになります。

第三 パッケージ型自動消火設備を設置することができる防火対象物 パッケージ型自動消火設備は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める防火 対象物又はその部分に設置することができるものとする。
一 Ⅰ型 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号。以下「令」という。)第十二条第一項第一号、第三号、第四号及び第九号から第十二号までに掲げる防火対象物又はその部分(令第十二条第二項第二号ロに規定する部分を除く。)のうち、令別表第 一㈤項若しくは㈥項に掲げる防火対象物又は同表(十六)項に掲げる防火対象物の同表㈤項若しくは㈥項に掲げる防火対象物の用途に供される部分で、延べ面積が一万平方メートル以下のもの
二 Ⅱ型 令第十二条第一項第一号及び第九号に掲げる防火対象物又はその部分で、延べ面積が二百七十五平方メートル未満のもの(易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものを除く。)
2型の条件にある易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものとは?
「易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるもの」とは、表面が合成皮革製のソファ等で特に燃焼速度が速いものとして次のいずれにも該当するものが設置されている防火対象物又はその部分をいいます。
- 座面(正面幅が概ね800㎜以上あるもの)及び背面からなるもの
- 表面が合成皮革、クッション材が主にポリウレタンで構成されているもの

Ⅱ型を設置する場合は燃えやすい2人掛け以上の大きさのソファは置けないと考えて下さい。
ヘッド免除部分はパッケージ型消火設備で包含しても大丈夫?
実務上のポイントはヘッド免除する部分についてです。
ヘッド免除される浴室や便所、階段室等はパッケージ型消火設備で包含しますが、「煙が著しく充満するおそれがある場所」の場合はどうでしょうか?
お気づきの通り、「煙が著しく充満するおそれがある場所」ではパッケージ型消火設備は設置できませんね(汗) しかし、平成25年9月20日の事務連絡では次のように回答されています。
問 スプリンクラー設備又はパッケージ型自動消火設備の補助散水栓として、消防法施行規則第13条第3項に掲げる部分にパッケージ型消火設備を設置する場合、浴室、便所、階段室、エレベータの昇降路、リネンシュート、パイプダクトのような部分は「煙が著しく充満するおそれがある場所」ではないとすることはできますか。
答 パッケージ型消火設備は消火剤量が限定的であるため、消火にあたっては早期に火点を特定し、そこに消火剤を放射することが求められます。質問の部分であって、可燃物が少なく、当該部分のいづれかで火災が発生したとしても、スプリンクラーヘッドの警戒範囲の場所からパッケージ型消火設備で容易に消火できる範囲内のものであれば、「煙が著しく充満するおそれがある場所」には当たらないと考えられます。なお「煙が著しく充満するおそれがある場所」かどうかの具体的な適用については、個別の建物の状況で判断が必要ですので、管轄の消防署に確認してください。
ポイントはパッケージ型消火設備の設置位置がスプリンクラーヘッドの警戒範囲で守られている点ですね。しかし、これらは「煙が著しく充満するおそれがある場所」に限定した解釈であるため、無窓階だとパッケージ消火設備がそもそも使えません。その場合、ヘッド免除される部分に対してもヘッドを設けないと未包含のままとなってしまいますので、無窓階でパッケージ型自動消火を設置する際は特に注意してください。
まとめ

パッケージ型自動消火設備はいろいろと制約も多いため、施設ができた後にも注意を要します。特に2型では表面が合成皮革製の大型ソファがあると消火が困難になるため適応しなくなてしまいます。立入検査等では大きなソファが新たに設置されていないかも重要なポイントとなりますね。
そうそう、パッケージ型自動消火設備を設置した際は、天井部分に放出口と2種の感知器、自火報用の感知器と設備だらけになります。初めてパッケージ型自動消火設備が設置される施設に行ったときは少し驚きますよ。
予防技術検定にチャレンジ! パッケージ型自動消火設備編
下記はスプリンクラー設備及びパッケージ型自動消火設備の設置についてまとめた表である。下表に関する次の記述のうち適当でないものはどれか?
パッケージ型自動消火設備を設置することができる用途 | ( ア )又は( イ ) |
パッケージ型自動消火設備Ⅰ型 | 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号。以下「令」という。)第十二条第一項第一号、第三号、第四号及び第九号から第十二号までに掲げる防火対象物又はその部分(令第十二条第二項第二号ロに規定する部分を除く。)のうち、令別表第 一( ア )若しくは( イ )に掲げる防火対象物又は同表(十六)項に掲げる防火対象物の同表( ア )若しくは( イ )に掲げる防火対象物の用途に供される部分で、延べ面積が( ウ )のもの |
パッケージ型自動消火設備Ⅱ型 | 令第十二条第一項第一号及び第九号に掲げる防火対象物又はその部分で、延べ面積が( エ )のもの(易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものを除く。) |
- ( ア )に入る用途は5項である。
- ( イ )に入る用途は6項である。
- ( ウ )に入る面積は10,000㎡以下である。
- ( エ )に入る面積は275㎡以下である。
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4.( エ )に入る面積は275㎡以下である。→以下ではなく未満が正解
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