簡易タイプの感震ブレーカー最大のデメリットは即時遮断! 即時遮断の対策をとろう

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感震ブレーカーっていろんな種類があるけども何がオススメなの?

ほんとに地震が起きて感震ブレーカーが作動したら、どんな状態になってしまうの? 感震ブレーカーを設置したからこそ起こるデメリットを教えて!

この記事では、数多くある感心ブレーカーの内、安価で後付けも容易なコンセント、簡易タイプについて一般財団法人日本消防設備安全センターの推奨品を分かり易く比較します。また、実災害時の感震ブレーカーによる即時遮断のデメリットや対策方法についても知りたくはありませんか?

感震ブレーカーを後付けするなら安価なコンセント、簡易タイプを勧める理由

感震ブレーカーの種類は大きく分けて次の4種に大別することができます。

  • 分電盤タイプ(内臓型)
  • 分電盤タイプ(後付け型)
  • コンセントタイプ
  • 簡易タイプ

分電盤内臓型や後付け型は作動の確実性という面で大きなメリットがあります。しかし、そんな確実性が高い分電盤タイプは設置費用が高く、自身でのDIYも困難であるため設置までのハードルが高いと言えます。そこで私がオススメするのは簡易タイプになります。

理由はとても単純です。安価であり、自身で設置ができる! 防災への心構えの中で大切なのは「万が一に備える危機意識」を実行に移す行動力であり、設置費用で悩んだり、工事日の調整で先延ばしにするうちに設置の機会を失いかねません。

そもそも感震ブレーカーの目的って何?

感震ブレーカーの設置目的は震災時の電気火災予防

感震ブレーカーの最大の目的は震災時の電気火災予防です。

震災時の電気火災を大きく分けると「震災直後の通電が継続した状態での火災」と「復旧時の通電による火災」になります。感震ブレーカーは自地震発生時に一定以上の揺れを感知したときに、ブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に止めます。

地震直後の電気火災の例としては白熱灯のスタンド照明が転倒し可燃物に接触した状態で加熱が継続し出火に至ることも考えられます。

他には電気コード上に重量物や鋭利な物品が落下し、電気コード間で短絡を起こし出火に至るパターンが考えられます。電気機器等の作動状態が継続していなくても電気コード内の銅線が接触することで出火に至る可能性があります。これは復旧時にも同じことが起こる可能性があり、震災直後は停電で電気の供給がなかったけれども、復旧と同時に電気の供給が始まり、ダメージを受けた電気コードを介して出火することが考えられます。

どちらの事例も震災時や避難時に「ブレーカーを切る!」という行動をとっていれば防ぐことが可能であったかもしれませんが、不在にしていたり、突然の地震でブレーカーを切る事を忘れたまま避難する可能性は0ではありません。なので感震ブレーカーの設置は、不在時やブレーカーを切って避難する余裕がない場合に電気火災を防止する有効な手段となり得る訳です。

今も昔も地震災害後の出火の多くは電気が原因!?

消防科学総合センターより数値抜粋

上の円グラフは阪神淡路大震災の地震後72時間以内に発生した火災原因の内訳を表しています。原因不明が約半数を占めますが、原因の判明している火災の半数以上が電気に起因する火災であることが分かります。

東日本大震災では102件の火災(地震後72時間以内)が報告されており、そのうち電気火災は70件です。報告数の約7割近くが電気に起因する火災です。なお、出火原因が不明だったものはたったの3件です。もしかしたら、阪神淡路大震災でも不明のものの火災原因が判明すれば、東日本大震災と同様に7割近くが電気に起因する火災だったのかもしれませんね。

感震ブレーカーの種類と目安の価格

経済産業省HP掲載の普及促進チラシより抜粋

感震ブレーカーを金額で比較すると、電気工事が必用なものとそうでないものに大きく分けることができ、分電盤タイプや埋め込み型のコンセントタイプは電気工事が必用で高額な傾向です。簡易タイプは電気工事が不要でDIYも可能です。

金額での違いで大きなポイントは照明確保機能と考えます。

ばね式やおもり玉式の簡易タイプは安価である反面、地震の感知と同時にブレーカーを切ってしまいます。しかし、分電盤タイプやアース付きコンセントへ設置するコンセント式は即時遮断以外にも照明確保機能を有しています。これは夜間等に地震を感知した際、即座にブレーカーを遮断してしまうと、照度不足により避難障害となってしまう可能性があります。照度確保機能は感知直後から3分間は自動遮断を行わず、時間経過後にブレーカー遮断を行い、照度不足による避難障害を発生させないよう配慮した機能です。

感震ブレーカー等の通電火災への対策 国の動向は?

国としても通電火災への対応に力を入れており平成26年3月には「首都直下地震緊急対策推進基本計画」を閣議決定しています。

具体的な目標として、今後10年間で延焼のおそれのある密集市街地における感震ブレーカーの普及率25%を掲げており、特に危険性の高い木造住宅密集市街地への集中的な取り組みにより普及を加速させようとしています。電気に起因する出火防止対策のため内閣府、消防庁、経済産業省が連携した取り組みとなっています。

国土交通省は密集市街地の整備を推進!

感震ブレーカーの普及拡大と並行して、「地震時等に著しく危険な密集市街地」の解消も進める事が目標とされています。この危険性の判断基準は延焼危険性や避難困難性を考えており、安全性の確保の方法は次の2点を進めることで最低限の安全性を確保しようとするものです。

  • 避難地・避難路の整備
  • 建築物の不燃化や共同化

密集した木造一般住宅から防火造や耐火構造の共同住宅へと都市景観を変える事で都市の不燃化を進める考えです。

感震ブレーカーについておすすめ品7選を紹介

感震ブレーカー設置の金額や照明確保機能についても分かった所で、実際にどの感震ブレーカーがオススメなのかを紹介したいと思います。

日本消防設備安全センターでは消防防災分野において効率化・簡便性・迅速性・安全性を評価し、一定の水準以上の製品を推奨しており、これを「消防防災製品等推奨制度」と言います。推奨される感震ブレーカーを分かり易く比較します。

アース付コンセントに設置する感震ブレーカー

ki感震センサー

平成30年3月12日に推奨を受けた感震ブレーカーです。アース付きコンセントに設置し、地震発生時には疑似的な漏電信号を流すことでブレーカーを遮断します。

大きなメリットとしては自身で設置することが可能であり、照明確保機能を有しています。デメリットという程ではありませんが、付帯事項として漏電ブレーカーが設けられていることが挙げられます。他社製品より安価とうたっていますがケー・アイ技術株式会社のHPを確認しても注文書等での金額の記載はありませんでした。購入を考える場合は直接問い合わせる必要がありそうですね。※参考価格不明

震太郎・X5029

平成29年12月4日に推奨を受けた感震ブレーカーです。アース付きコンセントに設置し、地震発生時には疑似的な漏電信号を流すことでブレーカーを遮断する点やメリット、デメリットはkiセンサーとほぼ同様です。

Amazon、楽天ともに通販での購入が可能であるためDIY可能です。※参考価格10,000円前後

地震みはりロボ・MT-EQS1

平成29年6月20日に推奨を受けた感震ブレーカーです。アース付きコンセントに設置し、地震発生時には疑似的な漏電信号を流すことでブレーカーを遮断する点やメリット、デメリットはkiセンサーとほぼ同様です。

楽天での通販での購入が可能であるためDIY可能です。※参考価格30,000円前後

地震みはりロボ・MT-EQS1

メーカー在庫限り地震みはりロボ MT-EQS1 大地震(震度5強以上)発生時、電気火災を防止!1台で家中の電気をすべて遮断します!デスモインターナショナル株式会社(楽天)

アンペアブレーカーにも設置可能な簡易タイプ

まもれーる・感震くんとフタしまーるくんセット RDJ12000W

平成28年12月7日に推奨を受けた感震ブレーカーです。分電盤や分電盤周辺に接着固定するタイプのもので、振動の感知により直接的にブレーカーを切るものですフタ付き分電盤に設置するとフタが閉まらなくなるため、その時はワイヤーを介してブレーカー遮断が可能な「フタしまーるくんセット」を選択して下さい。この手のタイプについての共通的なデメリットとして、物理的にブレーカーを遮断する構造であるため、揺れの感知と同時にブレーカー遮断するため照明確保機能がついていません。夜間の地震対策にハンドライトの準備が必用ですね。

ピオマ 感震ブレーカー・UGU6

平成28年12月7日に推奨を受けた感震ブレーカーです。分電盤や分電盤周辺に接着固定するタイプのものです。物理的にブレーカーを遮断する構造ですが、照明確保機能がついています。そのため、価格も1万円前後とアース付コンセントに設置する感震ブレーカーと同価格帯です。

スイッチ断ボールⅢ A001J

平成27年7月30日に推奨を受けた感震ブレーカーです。分電盤や分電盤周辺に接着固定するタイプのものです。構造は非常にシンプルで揺れたらボールが落ちて、その重量でブレーカーを下げる!

見たままのシンプルさであるため照明確保機能ももちろんありませんが、低価格と施工の容易さは大きなメリットかもしれません。夜間の地震対策にハンドライトの準備が必用ですね。

感震ブレーカーアダプター「ヤモリ」 ・ GV-SB1

平成27年5月18日に推奨を受けた感震ブレーカーです。分電盤や分電盤周辺に接着固定するタイプのものです。感震ブレーカーの中でも推奨を受けた第1号品であり、感震ブレーカーの原点とも言えます。照明確保機能が無いため、ハンドライト等の対策が必用ですが、設置は容易で価格も安価であり、DIYに向いています。

照度確保機能は必須? 即時遮断の感震ブレーカーの弱点と対策

感震ブレーカーの金額と機能の差について、照明確保機能の有無は概ね1万円といったところです。簡易タイプのものは安価であるものが多く照明確保機能も付いていないものが多いです。

しかし、安全性を優先するならば、照明確保機能の有無に拘わらず即時遮断をオススメします。照明確保機能での遮断時間は3分間ですが、言い換えれば万が一の時に3分間も通電状態が継続してしまいます。昼間帯の震災であれば照度に問題はありませんし、夜間であっても大きな揺れの直後になる可能性がある3分間以内に照明のスイッチを入れて避難行動等を行うことは現実的ではありません。それならば、ブレーカー即時遮断&他の手段による照度確保を選択することをオススメします。

ブレーカー遮断に併せて自動点滅! 防災用充電式携帯電灯はコレに決定!

震度4以上の地震又は停電を感知するとLEDライトが自動点滅するとともに断続警報音を発する地震感知・停電感知機能を有するリンテック製の「光ルヤモリ」

感震ブレーカーの原点とも言えるヤモリの弱点を上手くカバーしています。こちらの商品も平成30年3月12日に一般財団法人日本消防設備安全センターから推奨を受けています。

地震の感知かフレーカー遮断に併せて起動するため感震ブレーカーとの相性が非常に良いです。我が家では枕元に設置していますが、今のところ地震での起動はありませんが、ブレーカーを遮断すると音と光で存在をアピールしてくれます。

感震ブレーカー設置の補助金制度! 市町村により異なるが窓口はどこ?

感震ブレーカー設置を考えるならば、住んでいる地域で補助金制度の有無を確認してみて下さい。

補助金制度の有無や窓口、補助金額の割合や上限については市町村によりマチマチです。補助金制度を有する市町村のHPをいくつか見たところ次のような傾向が見えます。これは国の動向でも触れたとおり、内閣府と消防庁、国土交通省が連携した結果、市町村でも主に管轄する部局がどこかで割れているようです。

  • 窓口 ⇒ 防災管理部局 又は 消防部局
  • 補助金額の上限 ⇒ 設備費用及び設置費用の合計の2/3又は1万円程度
  • 補助対象の感震ブレーカー ⇒ 日本消防設備安全センターの推奨品

感震ブレーカーの広報すらしていない市町村も多くあるため補助金制度の有無はHPで検索するより、電話で問い合わせする方が効率が良いかもしれませんね。利用できる制度は積極的に使いたいものです。

まとめ

新築でない限り、後付けを前提とするなら金銭的にはコンセントタイプか簡易タイプがオススメです。後は分電盤の位置や構造にもよりますが、我が家では分電盤のフタの干渉や見栄えを優先し、コンセントタイプの「震太郎・X5029(サンワサプライ 感震ブレーカー 震太郎 X5029B01)」を採用しました。たまたま、エアコン用のアース付きコンセントが空いていたことも大きな理由ですが…

感震ブレーカーの照度確保機能の無いものは地震の感知と同時にブレーカーが遮断されてしまうため、ハンドライト等の夜間対策が必用です。防災用充電式携帯電灯としてブレーカーの遮断や地震の揺れに連動して存在を主張する「光ルヤモリ(KK201+ リンテック21 感震LEDライト YAMORI 光ルヤモリ)」をオススメします!

感震ブレーカーと防災用充電式携帯電灯の両面から家庭の防災対策を進めてみてはどうでしょうか!

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