防火対象物と消防対象物は違うの?消防法の目的や用語の定義を解説!

燃え盛る共同住宅と消防士 建築基準法関係

消防法や建築基準法を読むと防火対象物とか建築物って用語があるけどイマイチ繋がらない…

法律の目的の違いや用語の違いを教えて!

そもそも、消防対象物ってあんまり出てこないけど何を指してるの?

消防法や建築基準法を読み進める前に必ず読まなければならない部分があります。それは法律の目的と用語の定義ですね。消防法では防火対象物や消防対象物といった言葉が出てきますが、建築物との違いは分かりますか?消防法、建築基準法の両方の用語を見比べ、「用語の定義」をしっかり押さえて法律を読み進めましょう!

消防法と建築基準法の目的の違いって何?

近年、消防法や建築基準法の改正が目まぐるしいですね。消防法は民泊等や小規模な飲食店等への小さい施設等への細かい規制が増え、建築基準法では耐火構造の考え方を十分要件から必用条件へと分けて考えています。大きな火災等があるとこれらの法律に改正が加わり規制強化が進んできましたが、同時に時代の変化に対応するように規制緩和も進められています。そんな法律の目的、つまり法律で「こうあってほしい!」というの願いの部分を見ていきたいと思います。仕事の目的を見失いそうな時ほど、法律の目的を振り返りましょう!

結論から纏めると、どちらの法律も最終的なゴールとなる目的は同じ「公共の福祉の増進に資すること」です。それまでの手法の違いが異なっており、消防法は〈火災の予防、警戒、鎮圧や火災又は地震被害の軽減、救急〉について、建築基準法は〈建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準〉について定めています。

消防法第1条 目的

この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。

建築基準法第1条 目的

この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

建築物と防火対象物、消防対象物の違いは何?

消防法や建築基準法を読み進める前に必ず読まなければならない部分があります。それは法律の目的と用語の定義ですね。目的の違いが分かった所で次は用語の定義についてです。

消防法では防火対象物や消防対象物といった言葉が出てきますが、建築物との違いは分かりますか?

消防法、建築基準法の両方の用語を見比べ、「用語の定義」をしっかり押さえて法律を読み進めましょう! 各用語を比較すると次の様になります。

用語の比較

防火対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう。

消防対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物又は物件をいう。

建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

消防対象物と防火対象物の説明を比べてみると「山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物」までは同じですね。

後半の部分に違いがあり、「物件(消防対象物)」なのか「これらに属する物(防火対象物)」かです。つまり、消防対象物の方が広義的であり、防火対象部は消防対象物に含まれているような関係にあります。

図示すると次のような関係になります。

消防対象物と防火対象物の関係性

消防対象物に関連した法文としては消防法第25条に定められる応急消火義務や同法29条の消防吏員や団員による使用、処分、制限があります。対して防火対象物に関連した法文は消防法第5条に定められる措置命令や同法5条の2に定められる使用停止命令などです。

消防対象物は具体的に火災が発生した場合における権利や義務が、防火対象物は抽象的な火災発生危険に対しての使い分けが見えますが、消防法第4条はその例外かもしれません。

消防法第4条 第1項

消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員(消防本部を置かない市町村においては、当該市町村の消防事務に従事する職員又は常勤の消防団員。第五条の三第二項を除き、以下同じ。)にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。ただし、個人の住居は、関係者の承諾を得た場合又は火災発生のおそれが著しく大であるため、特に緊急の必要がある場合でなければ、立ち入らせてはならない。

抽象的な火災危険を排除するための条文ですがここで使用されているのは「消防対象物」です。なので、建築物等に関連性がある「防火対象物(若しくはこれらに属する物)」なのか、関連性が無くとも消火の対象と考える「消防対象物(又は物件)」なのかの違いがポイントとなります。

建築設備と消防設備の関係

建築物の用語の定義の中で建築設備が含まれることが分かったと思います。消防法を学んでいく中で気になる点がありますよね。

じゃあ、消防設備は建築設備にもなり得るの?

答えは一部の消防設備は建築設備でもあります。

建築基準法 第2条

建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

建築設備の中には、建築物に設ける消火設備や排煙設備が含まれていますね。つまり、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備、消防法に基づく排煙設備は建築設備でもあるということです。

建築士さんがスプリンクラーの設計に対して自身と責任を持って取り組まれるのは、このためですね。

まとめ

  • 消防対象物と防火対象物の違いは「又は物件(消防対象物)」なのか「若しくはこれらに属する物(防火対象物)」
  • 建築物は建築設備を含む
  • 消防設備の中でも消火、排煙設備は建築設備でもある

予防技術検定にチャレンジ!(問題数2)

予想問題 第1問

消防法第1条についての記述について誤っている部分はどれか?

第一条 この法律は、≪①火災≫を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、≪②火災≫又は地震等の災害による被害を軽減するほか、≪③火災等≫による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の≪④福祉≫の増進に資することを目的とする。

ちょっと答えを確認する?
答え   ③について、傷病者の搬送は火災に限定されませんので誤りです。
予想問題 第2問

消防法第2条及び建築基準法第2条についての記述について正しいものを選べ。

  1. 消防対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう。
  2. 防火対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物又は物件をいう。
  3. 建築物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備は含まない。
  4. 舟車とは、船舶安全法第二条第一項の規定を適用しない船舶、端舟、はしけ、被曳船その他の舟及び車両をいう。
ちょっと答えを確認する?
答え4 消防対象物と防火対象物の説明が逆、建築物は建築設備を含むため誤り

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