「消防力の整備指針」の用語の定義を整理して昇任試験の対策を!

昇任試験関連

消防力の整備指針では市街地や準市街地、消防専用電話装置などのよく耳にするようで、解説を求められるとちょっと難しい用語が多数あり、ノー勉強だと落としかねないよね(汗)

細かいところまでは求めていないけど、簡単に用語を整理して教えて!

消防力の整備指針では消防の施設や人員数の基準が定められています。しかし、この整備指針は消防組織法第37条に基づくものであり、性質は消防庁長官の助言、勧告、指導に位置し、法的な拘束力を有するものではありません。消防の昇任試験という一面から見れば数多くの用語の定義が定められており、昇任試験では必須科目の学習分野でもあります。

この記事では、「消防力の整備指針」にて定められる用語の定義を分かり易く整理し、消防昇任試験の学習が効率的に進むよう解説していきます。

消防力の整備指針と消防組織法第37条

まず始めに、消防力の整備指針は平成12年1月20日消防庁告示第1号にて発出されており、消防組織法第37条に基づくものです。消防組織法第37条は消防庁長官の助言、勧告及び指導について定めるものであり、「消防力の整備指針」は法的な拘束力を有するものではない事が分かります。

消防力の整備指針 第一条

この指針は、市町村が火災の予防、警戒及び鎮圧、救急業務、人命の救助、災害応急対策その他の消防に関する事務を確実に遂行し、当該市町村の区域における消防の責任を十分に果たすために必要な施設及び人員について定めるものとする。

2 市町村は、この指針に定める施設及び人員を目標として、必要な施設及び人員を整備するものとする。

消防組織法第37条(消防庁長官の助言、勧告及び指導)

消防庁長官は、必要に応じ、消防に関する事項について都道府県又は市町村に対して助言を与え、勧告し、又は指導を行うことができる。

最近では平成31年3月29日消防庁告示第4号による改正もされており、はしご自動車保有の緩和や消防指令システムは消防本部が備えるものとして規定化されています。

消防職員=消防吏員+その他の職員

消防力の整備指針を読み進める中で重要なポイントは消防職員と消防吏員の違いについてです。それぞれの用語とともに法文を確認しましょう!

消防職員とは

消防職員は消防事務に従事するすべての一般職の地方公務員の総称を指しており、これには消防吏員とその他の職員が含まれています。

総務省資料より(H28データ)
法文条項
予防要員 火災の予防に従事する消防職員をいう。第2条第6項
救急隊 消防法第二条第九項に規定する救急業務を行う消防法施行令第四十四条第五項に規定する消防吏員(以下「救急隊員」という。)の一隊又は救急隊員及び同条第六項に規定する消防職員(第二十八条において「准救急隊員」という。)の一隊をいう。第2条第10項
〈基本理念〉
消防職員がその業務を的確に実施するために必要な職務能力を有するとともに、相互に連携した活動を行うことができるようにすること等により、総合的な消防力の向上を図ること。
第3条
〈消防職員の職務能力〉
消防職員は、第三条各号に掲げる事項を実施することができるよう、訓練を受けること等を通じ、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める能力を備え、その専門性を高めるとともに、複数の業務の経験を経て、それらの知識及び技術を有することにより、職務能力を総合的に高めるよう努めるものとする。
第26条
〈消防本部及び署所の消防職員の総数〉
消防本部及び署所における消防職員の総数は、次の各号に掲げる数を合算して得た数を基準として、勤務の体制、業務の執行体制、年次休暇及び教育訓練の日数等を勘案した数とする。
第34条

消防吏員とは

消防吏員は消防長により採用され一貫して消防事務(火災・救急等への対応、査察業務等)に従事する一般職の地方公務員であり、階級及び服制に関して市町村規則で定める事とされています。(組織法第16条第2項)

消防法第3条や消防法第5条の3に基づく命令を行う事ができるのもこの消防吏員であり、消防職員ではありませんね。

法文条項
警防要員 火災の警戒及び鎮圧並びに災害の発生時における人命の救助その他の被害の防御に従事する消防吏員をいう。第2条第5項
指揮隊 災害現場において指揮活動を行う消防吏員の一隊をいう。第2条第9項
救急隊員 消防法第二条第九項に規定する救急業務を行う消防法施行令第四十四条第五項に規定する消防吏員第2条第10項

消防吏員の階級についても覚えておきましょう。消防長の階級は吏員数や市町村規模により決まっています。

市町村規模に基づく消防長の階級

その他の職員とは

その他の職員とは一般的に市町村の職員として採用された者のうち、一定
期間、人事交流等により消防事務(ただし、火災・救急等への対応は除く。)に従事する一般職の地方公務員であり、市町村の部局内異動等で消防事務に携わる職員を指します。いわゆる完全な事務屋であり、経理部門の担当であったり統計部門の担当をよく目にします。

無線や指令システム、通信装置の用語

無線や装置の名前については覚えるしかないです。下表に纏めていますので用語、設置場所、目的ごとに覚えて下さい。

用語設置場所目的条項
同報系の防災行政無線設備市町村災害時において住民に対する迅速かつ的確な災害情報の伝達を行うため第19条
消防指令システム消防本部の管轄区域通信指令管制業務を円滑に行うため第20条第1項
消防専用電話装置消防本部及び署所消防本部及び署所の相互の連絡のため第20条第3項
必要な通信装置消防本部及び消防団消防本部及び消防団の相互の連絡のため第21条第1項
必要な通信装置消防団消防団と分団との連絡のため第21条第2項
消防救急無線設備消防本部及び消防用自動車等消防本部と消防用自動車等の間の連絡及び消防用自動車等の相互の連絡のため第22条

チャレンジ問題

第1問【〇✕問題】

消防力の整備指針は、市町村が火災の予防、警戒及び鎮圧、救急業務、人命の救助、災害応急対策その他の消防に関する事務を確実に遂行し、当該市町村の区域における消防の責任を十分に果たすために必要な施設及び人員について定めるものとする。

クリックして答え合わせ
答え 正しい〈整備指針第1条〉
第2問【〇✕問題】

市街地とは建築物の密集した地域のうち、平均建ぺい率がおおむね十パーセント以上の街区の連続した区域又は二以上の準市街地が相互に近接している区域であつて、その区域内の人口が一万以上のものをいう。

クリックして答え合わせ
答え 正しい〈整備指針第2条〉
第3問【虫食い問題】

準市街地とは建築物の密集した地域のうち、平均建ぺい率がおおむね十パーセント以上の街区の連続した区域であって、その区域内の人口が〈〇〇〉以上〈〇〇〉未満のものをいう。

クリックして答え合わせ
答え 〈千〉以上〈一万〉未満〈整備指針第2条〉
第4問【虫食い問題

動力消防ポンプとは〈〇〇〇〇〉、〈〇〇〇〇〉又は〈〇〇〇〇〉をいう。

クリックして答え合わせ
答え 消防ポンプ自動車、手引動力ポンプ又は小型動力ポンプをいう。
第5問【一問一答】

火災の警戒及び鎮圧並びに災害の発生時における人命の救助その他の被害の防御に従事する消防吏員を何要員というか?

クリックして答え合わせ
答え 警防要員
第6問【〇✕問題】

予防要員とは火災の予防に従事する消防吏員をいう。

クリックして答え合わせ
答え 誤り 正しくは「火災の予防に従事する消防職員」
第7問【一問一答】

消防力の整備指針において中高層建築物とは何か?

クリックして答え合わせ
答え 高さ十五メートル以上の建築物
第8問【一問一答】

消防力の整備指針において第四類危険物の五対象施設とは何か?

クリックして答え合わせ
答え 第四類の危険物を貯蔵し、又は取り扱う製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所及び一般取扱所
第9問【虫食い問題】

次の表について虫食い部分を埋めよ

用語設置場所目的
【〇〇〇】
クリックして答え合わせ
答え 同報系の防災行政無線設備

市町村災害時において住民に対する迅速かつ的確な災害情報の伝達を行うため
消防指令システム消防本部の管轄区域【〇〇〇】
クリックして答え合わせ
答え 通信指令管制業務を円滑に行うため
【〇〇〇】
クリックして答え合わせ
答え 消防専用電話装置
消防本部及び署所消防本部及び署所の相互の連絡のため
【〇〇〇】
クリックして答え合わせ
答え 消防救急無線設備

消防本部及び消防用自動車等消防本部と消防用自動車等の間の連絡及び消防用自動車等の相互の連絡のため
第10問【〇✕問題】

消防署長は、消防に関する知識及び技能の修得のための訓練を受けるとともに、広範で高い識見等を有することにより、その統括する消防本部の有する消防力を十分に発揮させるよう努めるものとする。

クリックして答え合わせ
答え 誤り 設問は消防長の責務についての記述である。

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